【革製品(カードケース)作成過程】

【1.型紙作成】

 

まずは「型紙」の製作。

無くても問題は有りません製作中の手間や完成度に大きな違いが出ますので面倒がらずにキッチリと。また、この型紙によっておおよその完成ビジョンが見えてきます。

【2.革への印つけ】

 

切り出した型紙をもとにして「革」切り出しの印をつけます。このときズレてしますと完成時にガタガタに... 慎重に。

【3.革の切り出し】

 

いよいよ「革細工」らしくなってきました。が、油断大敵。前項でキチッ目印をつけておかないとこれまたガタガタに。普通の工具でもいいですが、写真では専用の裁ちカッターにて。

【4.切り出した革への処理】

 

やっとの思いで切り出した革材達に「トコノール」という薬剤を添付し、床面(裏面。表は銀面と呼びます)をツルツル」にする作業です。敢えて行わない方もおられますが、そこは作品のコンセプトとセンス、お好みで。作業の差は写真のとおり。その他「コバ(主に切断面)仕上げ他、切り出した革材への「処理」が数多くあります。

【5.「縫い穴」印付け】

 

革材の処理が終わり仮組(簡単で十分。本作品は和柄張込みという特例がありましたので割愛いたします。あしからず)が済んだら、いよいよ本組に向けた作業です。本項は手縫いの作成過程ですのそれに沿った説明です。布と違い革は針でそのまま縫うことはまず無理です。そのため事前に「菱目打ち」なる工具で穴を開けてそこに針に絡めた糸を通し縫っていく、という流れになります。その菱目打ちがずれると作品の仕上がりもガタガタ。そうならないように「ネジ捻」という工具(写真左)で革材に菱目を打つための印をつけていきます。基本的には菱目を打っていく予定ラインに沿ってネジ捻で印(圧)をつけていくだけです、が、やはり慎重に。

【6.菱目打ち(縫い穴あけ)】

 

ネジ捻で真っ直ぐなラインが革材に記せたかと思います。いよいよ大仕事の菱目打ちです。

基本的にはネジ捻印の交差する箇所を起点として菱目打ちを垂直(悪い例:斜めに打ち込む。写真1)に打ち込みます(これが斜めるとあとで針・糸を通す際に苦労します)

打ち込んでいく途中、菱目の間が詰まってきますので少しづつ調整を。ここは最早「センス」です。

 

【7.縫製開始】

 

糸を選びます。今回は「ロウ引き」糸を使うので割愛しますが、普通の糸を使う場合は「蜜ロウ」と呼ばれる材を糸に塗り込みます。

尚、縫製は普通は「玉結び」を先端に作って縫い始めますが、革手縫いの場合、糸の両サイドに針を絡め(これも今回割愛します。スイマセン)穴の両面から針・糸を通しように縫製していきます。

【8.縫い方、始め!】

 

糸が絡まないように気を付けながら穴に針を通していきます。

某革職人曰く「縫い目は革細工の『枠』これ次第で出来が問われる」とのこと」

半分まで縫いましたが今回は・・・うーむ、常に修行有るのみ。

 

尚、縫いあげている過程、完成状態が以下の写真です。

最後の写真は縫製だけでは事足りない箇所を「サイビノール(早い話が革材用ボンド)」を塗り込み固定します。人(私だけですが)呼んで「サイビノー流 クリップ固め」

クリップ止めをする際は革材に傷が付かないように破切れ革をかませて下さい。

【9.仕上げ】

サイビノー流 クリップ固めでしっかりと固定がなされたら「一応」出来上がりです。

「一応」というのは「余分な革切断」「切断面処理(トコノール、コバ仕上げ他)」「革材保湿剤塗布」etc...

まだまだ有りますが、今回は「刻印」を取り上げます。

【9-1】

 

マイ刻印(オーダーです。自慢

エッヘン)

はんだ熱式なので約1分(環境が寒ければ調節。今回は部屋が寒かったので2分分ぐらい熱しました)

【9-2】

 

十分に熱した刻印を希望する箇所へ押印。材質によって押印時間が変わります。

薄手だと焦げたり、厚手だと薄くした刻印されなかったり…

様子をうまく見ながら押印して下さい。

【9-3】

 

今回は押印状況をチラ見しながら30秒弱、だったような気が。

(大事なことなので二回書きますが部屋が寒かったんで)

 

あんまり大っぴらにチラ見すると押印の温度差や押し直しのずれが出てしまいボヤーッとした刻印になってしまうので注意して下さい。

できれば同じ革の切れ端で仮押し練習するのが吉。



【10.完成しました】

というわけで無事(?)に完成(当方フォトグラファーの腕が良すぎて上記写真と別物に見えなくも有りませんが、まごう事なき同品です)

縫製の糸調子や革の切断面」、その他諸々の処理等とまだまだ修行有るのみですがハンドメイド・手縫いということでご了承を。

本当は売り物としての出品の為に作成したのですが、やはり愛着が沸きますね。本庵ディレクターには「○○で売ろう!」とドライに捌かれていきますが、子供を送り出す気持ちで販売しております。

お手に取られる方、何卒、愛着をもって使っていただければ幸いです。